『私のオーストリア旅行』
第4話 " ドルンビルン駅で セレクション"
写真は、フランクフルトを出てまもなくの列車です。どうして色とりどりなの?車両がそろわなかったのだろうかと心配をしている人はいませんか? 私は気になりました。ところが実は『赤』は食堂車、『青』は何々と一目瞭然に解るようになっている、さすが合理的なドイツならではの気配りだったのです。
コンパートメントの客室は、個室で向かい合って6人が座れます。自分がその大きな椅子に埋まるように座り、ゴトゴトと揺れながら見る外の景色は、田んぼなんかない、映画で見おぼえのある、紛れもない外国。今がまるで作り事のように思えます。
さて、お昼です。お弁当にまさかおにぎりなんて……。
その通りこんな物が入っていました。オレンジジュース、黒パン、クラッカー、ケーキ、洋なし、バター、レバーペースト、クリームチーズ、マスタード(中辛)、キャンディー、それに紙ナプキン、ナイフ、フォーク、そして強烈な匂いのウエットティシュ。至れり尽くせりです。
列車は、どんどん南のアルプスに向いて走り、山岳地帯に近づいてきます。
いつの間にか国境を越え、いよいよ、『ドルンビルン』に到着。 可愛い花が飾られた、駅舎に、たくさんの人が待ち受けています。
オーストリアの第一夜、実は、民泊なのです。ところがさあ大変。ホームステイ先のリストを持っている担当の人がまだ到着していないとのこと。
どこに泊めてもらえるのか、あるいは売れ残るか、
平静を装う私の心は、心配と不安で波立ち始めました。