『私のオーストリア旅行』

 

第8話           " リヒテンシュタイン公国  "
               Fuerstentum Liechtenstein
    

山腹のリヒテンシュタイン候居城/Vaduz 

今日はリヒテンシュタイン公国を訪れたお話です。こんな言い方をすると、ファドーツ(Vaduz)の山腹のお城に住んでいる『ローマの休日』のお姫様みたいな人に招かれたみたいだけど、ただ遠足に行っただけ。ウィーンにも居城があるそうで、その時ファドーツにリヒテンシュタイン候がおられたかどうかは、私の知るところではありません。面積160ku,人口3万人、車で20分も走ればもう国境という、小さな国リヒテンシュタインを、国だと知らない人もいるのではないでしょうか。

スイスと、オーストリアにはさまれているので、以前オーストリアと仲良しだった頃は、シリングが通用しましたが今は、スイスと仲良しなので、スイスフランが通貨です。私達のバスは、一旦スイスに出て、スイス側から入ります。そう言われても、あたり一帯は山と牧草地に囲まれて、その中に家が点在する、いわゆるチロルと言われて思い出す風景とさほど変わらず、どこからどこまでがリヒテンシュタインなのか、区別が付きません。

前夜も、村の青少年との交換会があり、熱心に鍼灸のことについて質問してくる男の子がいて、
「それは中国での話、日本のとはちょっと違う。」
と答えたけど、解らなかったかもしれない。
つまり東洋と西洋というくくりで見ているから細かい違いは解らないのです。

      Austria からSwissに入るときの税関(Zollamt)

こんな小さな国なのに、なぜ我々がその名を知ってるか、それは冬季オリンピックのTV中継で、活躍するこの国の選手達をしばしば見るからではないでしょうか。

それに忘れてはならないのが、切手。発行枚数が少ないなどマニアにはたまらない物だそうです。原画に使われたりする、リヒテンシュタイン候所蔵のルーベンスなど、絵画の収集もつとに有名で、婚礼や何か事があるときには、そのうちの2,3枚を売って費用を捻出するとか。

私が町の郵便局で買った、数枚の切手が将来100年くらい経って、映画のように、遺産になるかな?

それに意外と知られていないのが、ポーセレン。Porzellanはドイツ語で磁器のことで、歯医者さんで使われている人工陶歯のことです。色合いが微妙で高級品として日本にも大量輸出されているとのこと。知らずにお世話になっている人もいるかもしれませんね。

 

リヒテンシュタインは『ハイジ』の作者ヨハンナ・シュピリの生まれ故郷でもあります。私は小学校3年生のクリスマスの朝にこの本を枕元に発見し、「起きなさい!」という母の声も聞こえず、そのままお昼までかかって読み切ったのを覚えています。感動が私を包み込み、ハイジみたいになりたい、幸せを運ぶ子になりたいと思ったのは、全く自分を知らなかった故の無謀な望みだったと、今では解ります。長い間、どこの国の話か知りませんでしたが、リヒテンシュタインに来て、柔らかな牧草の上に腰を下ろし、たくさんの小さなハイジや、ペーター達を見て、本当にハイジは居たかもしれないと、何かほっとしました。

もっと観光客の行きやすい別の国に、"ハイジの村"みたいなのがあったように思いますが、きっと同じ物を味わうことは出来ると思います。

演奏する少年

税金が無く(その当時の話、今はどうでしょう。)、観光が資源の国ですから、少しそれにおもねったところは感じられました。でも町の広場での多くの観光客にむけた合奏団の演奏。町のすぐそこまでせまり、実際に手で触れ、匂いを感じられる牧場。綺麗な風景。そして私達を取り巻くおいしい空気。誰だって行ってみたいと思わせる、そんな国でした。今度はスキーに来たいと、私は思いました。

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《ヨハンナ・シュピリについてお詫びと訂正》
ヨハンナ・シュピリの故郷は私の記憶違いで、スイス、チューリッヒ近くのヒルツュルHirzel村です。(ヨハンナ・シュピリ ミュージアム:S-Bahn2または8でHorgen下車、ポストバスでヒルツュルのKirche前下車)ごめんなさい。
また、スイスのマイエンフェルトMaienfeldには、ハイジを完全に味わえるシチュエーションがあります。駅前Kioskの i には、日本語の解説付き地図もあるそうですから、登山靴で牧場をめぐりハイキングすると一層楽しいですね。(マイエンフェルト:チューリッヒよりChur行きの急行で約1時間のSargansで乗り換え。そこから各駅停車で二つ目の駅)

つづく

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